★ チャーター機送還とは
2010年3月にガーナ人男性を強制送還するために一般機に搭乗させようとする段階で制圧し、男性がそのまま死亡した事件がありました。
その後、2013年春までは送還忌避する外国人に対しては強制送還が行われませんでした。
2013年7月以降、2018年2月までに計7回のチャーター機送還が行われました。
このページでは、チャーター機送還の状態とメディアや支援団体の動向などをお伝えするとともに、特に難民申請者の送還に関して「ノン・ルフルマン原則」にも違反しているために止めていかなければならないと思います。
2015年9月に策定された「第5次出入国管理基本計画」の中にもしっかり難民申請者に対してもチャーター機による強制送還を位置づけています。
- 7回め ベトナム人47名 チャーター機による一斉送還 (2018/2/8)
- 6回め タイ人、ベトナム人、アフガン人計43名 チャーター機による一斉送還(2017/2/20)
- 5回め スリランカ人30名 チャーター機による一斉送還 (2016/9/22)
- 4回め バングラデシュ人22名 チャーター機による一斉送還 (2015/11/25)
- 3回め スリランカ人26人・ベトナム人6人 チャーター機による一斉送還 (2014/12/18)
スリランカ人が送還後に「(難民不認定処分取消の)裁判を受ける権利を侵害された」として提訴 (2017年10月 2019年7月更新) - 2回め タイ人50人 チャーター機による一斉送還 (2013年12/8)
- 1回め フィリッピン人75人 チャーター機による一斉送還 (2013/7/6)
この送還方法を導入する理由を、行使前は「コスト削減」と法務省は言っていましたが、4回めの送還後に行われた法務大臣記者会見では
送還忌避者が送還を阻止する目的で機内等で迷惑行為に及んだりしても、搭乗を拒否されることなく、安全かつ確実な送還ができる有効な方法だと認識している
と答えています。一般搭乗客の目に触れない形で行われ、送還のやり方が人権を無視した形で行われていることを各支援団体が行なった当事者からの報告で上がっています。
★ チャーター機送還に関する一般的な情報
- 難民認定制度の運用の見直しの概要について (15/9/15 法務省) 外部リンク
関連 第5次出入国管理基本計画の策定について (15/9/15 法務省) 外部リンク - 不法滞在者:チャーター機で一気に強制送還へ 法務省方針 (12/12/19 毎日新聞)
2013年7月 2019年7月更新 RAFIQ
7回め ベトナム人47名 チャーター機による一斉送還(2018/2/8)
2018年2月8日、7回目のチャーター機による一斉送還が行われ、ベトナム人47名が送還されました。ベトナムへの送還は2014年、2017年と引き続き、3回目になります。
毎日新聞によれば、難民申請中や訴訟中の人はいないということですが、過去に難民申請をしていたことがある人(おそらく不認定処分)が含まれているようです。法務省は偽装難民の急増を防ぐといっていますが、難民申請をしていたことがある人を送り返すのはノン・ルフルマンの原則に反しており、送還後の状態が気になるところです。
RAFIQの調査では、少なくとも大村入国管理センター(長崎県)から10名、大阪入管から3名がこの飛行機に載せらています。その中には難民申請をしたことがある人も含まれています。
★ 関連Web
- 在日ベトナム人強制送還 日本でも家族分断「人道配慮欠く」 (18/8/26 東京新聞)
- 【声明】チャーター機によるベトナムへの一斉送還(2018年2月8日)に対する 抗議声明 (18/2/28 移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)) 外部リンク
※ RAFIQも賛同しています。 - 法務省:ベトナム人47人を強制送還 チャーター機で (18/2/8 毎日新聞)
6回め タイ人、ベトナム人、アフガン人計43名 チャーター機による一斉送還 (2017/2/20)
2017年2月20日、チャーター機により、タイ人32人、ベトナム人10人、アフガニスタン人1人計43名がチャーター機により送還されました。一部の人については入管の収容者から支援者に連絡が入り、集団で居室を連れ出されたとわかりました。
3月15日の移住連の抗議声明によれば、裁判をする機会の権利を奪われた難民申請者がいたようです。またそれがアフガンの人であれば、危険な国に送還させることは重大なことで、ノン・ルフルマンの原則に反します。
タイ、ベトナムへの一斉送還は2回めとなります。
★ 関連Web
- 「タイへの一斉送還(2017年2月20日)に対する抗議声明」 (17/3/15 移住連) 外部リンク
※ RAFIQも賛同しています。 - 不法残留:タイ人ら43人強制送還 (17/2/22 毎日新聞)
- Government uses charter plane to forcibly repatriate 43 foreign nationals (17/2/21 Japan Times)
- 入管、タイ人ら43人を強制送還 (17/2/21 ロイター)
5回め スリランカ人30名 チャーター機による一斉送還
(2016/9/22)
016年9月23日、チャーター機送還により、スリランカ人30名が送還された模様です。
スリランカ人に関しては2回目です。幸いにもRAFIQが支援してきたスリランカ人は収容中の人も含め、送還されませんでした。
共同通信の記事によれば、3700万円の費用だったようです。
今回もやはり送還された人の中に難民申請者はいたもようで、これは難民不認定や異議申し立てに対し、裁判を受ける権利を奪われたこと、庇護を求めているのに危険な母国への送還をしてはいけないというノン・ルフルマンの原則に違反しています。
★ 関連Web
- スリランカへの一斉送還(2016年9月22日)に対する抗議声明 (16/10/5 移住連) 外部リンク
RAFIQも賛同しています。 - スリランカ人30人強制送還 入管、チャーター機で (16/9/23 共同通信) 外部リンク
4回め バングラデシュ人22名 チャーター機による一斉送還 (2015/11/25)
2015年11月25日、チャーター機による送還が行われたようです。今回はバングラデシュ人22人で、フィリピン人75人(2013年7月)、タイ人50人(2013年12月)、スリランカ人26人・ベトナム人6人計32人(2014年12月)に続き、4回めの送還となりました。
今回の送還者の中には、難民申請をしていた方が数名、関西からの送還者はなかった模様です。
★ 関連Web
- 日本政府、バングラデシュ人22人を強制送還 難民不認定者も (15/12/10 ロイター)
- チャーター機によるバングラデシュへの強制送還に対する抗議声明 (12/4 移住連) 外部リンク
- チャーター機による集団送還に関する質疑について 法務省:法務大臣閣議後記者会見の概要 (2015/11/27) 外部リンク
- 日本、22人の不法移民をバングラディシュに送還。この中には不認定となった難民申請者を含んでいる (15/11/26 Japan Tims 翻訳)
3回め スリランカ人26人・ベトナム人6人 チャーター機による一斉送還 (2014/12/18)
一斉送還されたスリランカ人が日本政府に損害賠償を求めて提訴 2017年10月
2014年12月に一斉送還されたスリランカ難民のうち2人が、「難民不認定取消を求める訴訟を起こす権利を一斉送還によって奪われた」として、10月19日東京地裁iに損害賠償を求め提訴しました。
一斉送還の中には、難民不認定の決定を受け、訴訟を準備していた人たちが多く送還されています。
- スリランカ人の強制送還、日弁連が警告「裁判受ける権利を侵害」 家族にも連絡できず (19/9/25 弁護士ドットコム)
- 男性の強制送還「適法」 名地裁「誤った説明」に賠償命令 (19/7/31 中日新聞)
- 難民申請者への賠償、一部認定 裁判受ける権利は否定、名古屋 (19/7/30 中日新聞)
- 難民訴訟でスリランカ国籍の原告が一部勝訴 「裁判を受ける権利」は認めず 名古屋地裁 (19/7/30 毎日新聞)
- 強制送還のスリランカ人が提訴「裁判受ける権利を侵害」 (17/10/19 朝日新聞)
- 「強制送還で裁判権利奪われた」難民認定求めた2人が提訴 (17/10/19 NHKニュース)
- 強制送還のスリランカ人が提訴 「裁判を受ける権利侵害」 (17/10/19 東京新聞)
★ 報道
- 急ぐ入管 裁判侵害? 強制送還のスリランカ人 難民認定求めたのに… (15/2/12 東京新聞)
- 【日本の議論】合点がいかない「不法滞在者の強制送還にチャーター機、年間3000万円」の国費負担…それでも法務省が「実はコスト安」という“内実” (2015/1/16 産経新聞)
- 繰り返されるチャーター便での集団強制送還~人権無視の入管行政、スリランカとベトナムへ32名 (14/12/26 レイバーネット・西中誠一郎氏)
- 難民申請者、強制送還 (14/12/20 Japan Times 翻訳)
- 不法滞在32人を一斉強制送還 チャーター機で、法務省 (14/12/20 日本経済新聞)
- 強制送還:スリランカ人ら32人 (14/12/20 毎日新聞)
2回め タイ人50人 チャーター機による一斉送還 (2013/12/8)
- チャーター機によるタイへの一斉送還に対する抗議声明 (13/12/11 移住労働者と連帯する全国ネットワーク) 外部リンク
- タイ人約50人チャーター機で強制送還 (13/12/8 NHKニュース)
1回め フィリピン人75人 チャーター機による一斉送還 (2013/7/6)
★ 支援団体声明等
- 非正規滞在者をめぐる政策的課題-チャーター機によるフィリピンへの集団強制送還を受けて- (13年12月 移住労働者と連帯する全国ネットワーク、日本カトリック難民移住移動者委員会) 外部リンク PDF
- フィリピン人75人の成田空港からの集団送還(7月6日)に関する実態調査-人権・人道上の問題が浮き彫り (2013年8月 ヒューライツ大阪) 外部リンク
- チャーター機を用いたフィリピン人75名の強制送還にかんする共同声明(日本語訳)(13/8/27 日本カトリック難民移住移動者委員会(JCaRM)ほか3団体) 外部リンク PDF
- 入管による一斉無理やり送還に抗議します (13/7/6 仮放免者の会) 外部リンク
- 【転載】同意なきチャーター便強制送還への非協力を求める要望書 (仮放免者の会) 外部リンク
★ 報道
- フィリピン現地調査で明らかに――問題ある強制送還 (13/8/27 週刊金曜日)
- フィリピン人強制送還、日本人医師が聞き取り調査 (13/7/29 TBS)
- フィリピン人強制送還者、日本政府に日本に戻すことを要求 (ABS-CBN ニュース 13/7/26 共同通信 Pinoy deportees call on Japanese gov’t to let them return 翻訳版)
- 比の強制送還者、入管対応を批判 「トイレでも手錠」 (13/7/26 中日新聞)
- 不法滞在のフィリピン人75人、チャーター機で一斉送還 (13/7/6 TBS)