強制送還のスリランカ人が提訴「裁判受ける権利を侵害」

(17/10/19 朝日新聞)

難民不認定に対する異議申し立てが退けられた直後に強制送還され、処分の取り消しを求める裁判を起こす権利が奪われたとして、スリランカ国籍の40~50代の男性2人が19日、国に計1千万円の賠償を求め、東京地裁に提訴した。

訴状によると、40代男性は母国で政治活動中に迫害の恐れを感じ、1999年に来日した後、不法滞在。2011年になって難民申請したが、不認定処分を受け、異議を申し立てた。

継続的に仮放免の許可を得て滞在していたが、14年に東京入国管理局を訪れた際、異議の棄却決定通知を受けた。弁護士に電話したがつながらず、約30分後には電話を取り上げられ、翌日に強制送還された。

04年に来日した50代男性も同日、強制送還された。入管職員に「提訴したい」と伝えたが、「あすスリランカに送還します。これは決定事項です」と言われたという。

難民申請者は不認定処分の異議が棄却されても、6カ月以内なら訴訟を起こせる。男性側は「入管の対応は裁判を受ける権利を侵害し、違憲」と訴えている。

入管側は「訴状の内容を把握していない」としている。(山本亮介)