スリランカ難民 勝訴後の「難民不認定」 取消求め再訴訟 2018年7月

「難民不認定取消訴訟」で勝訴が確定したにもかかわらず、法務省が出したのは再度の「難民不認定」…。司法判決を守らない行政のあり方に誰もが不信を抱きます。
スリランカ難民は「母国は安全ではない」として、再提訴しました。
そして、国の「不認定」処分は間違っているという司法の判断を勝ち取りました。

入管は1月に難民認定をしました。

2019年1月 8月更新 RAFIQ


スリランカ難民の経過
(朝日新聞記事参考~2018年7月)

2006年
9月
 スリランカを出国し、経由地の中部空港で拘束され、強制退去処分を受ける
10月 難民認定申請
12月 難民不認定が通知される
2007年
8月
 難民不認定の取り消しなどを求め、大阪地裁に提訴
2011年
3月
 大阪地裁、国に難民不認定の処分取り消しと強制退去処分の無効を命じる判決(確定)
12月 再び難民不認定が通知される
2015年
8月
 難民不認定の処分取り消しを求め、国を相手取り東京地裁に提訴
2018年
7月
 東京地裁、難民認定を命じる判決、国側、控訴
2018年
12月
 東京高裁、地裁判決を支持し、国側控訴を棄却
2019年
1月
 難民認定
2019年
8月
 国を相手取って、損害賠償を求め、東京地裁に提訴

再訴訟判決の意義

この裁判の意義は、

  1. 裁判で勝訴しても法務大臣が却下するケースが増えてきた中で、再訴訟を起こした初めてのケースでした。今回のケースを含めて5ケースあります。
  2. 判決内容で国際法である難民条約における終止条項(5)*を検討したことにあります。
    終止条項(5)とは「難民であると認められる根拠となった事由が消滅したため,国籍国の保護を受けることを拒むこと ができなくなった場合」ということであり、そのの該当性について、出身国情報を検討し、判決で「(終止条項に)該当すると認められない場合、難民認定すべきだ」としました。
    そのうえで、「スリランカの内戦が終結した2009年5月以降も、タミル人であってLTTE(「タミールイートラ解放の虎」=武装勢力組織)との関係が疑われる者については、なお政府による拘束や拷問の危険にさらされていたことは否定できず、そのような状況は(男性の)不認定処分がされた2011年12月時点でも継続していた」と認めたことです。

*「終止条項」について 難民の地位に関する1951年の条約(UNHCR Japan) 第1条C項

2018年7月 RAFIQ


【メディア記事】