「他の難民申請者も紹介」 福島除染、仲介バングラ人証言

(17/3/15 中日新聞)

難民申請中のバングラデシュ人の男性二人が「ピザが延びる」と虚偽の説明を受け、東京電力福島第一原発事故の除染作業に従事していた問題で、最初に二人の仲介者となったバングラデシュ人男性(40)が十四日、本紙の取材に応じた。男性は雇用に際して、ピザが延びるとの虚偽説明があったのは「事実」と認めた上で「ほかの難民申請者も仲介した」と証言。同様の被害が相次いでいた可能性が高まった。

この仲介者は来日して十年ほどになるといい、日本語は堪能。群馬県内で取材に応じ「二人とはもともと知り合いで、仕事を探していると聞き、力になりたかった」と語った。

二〇一四年末ごろ、派遣会社の社員を名乗る知人の男に二人を紹介。面談に立ち会い、男の説明を聞いた。仲介者は、男が「除染は国の仕事。長く続くし、まじめにやればピザを延ばしてもらえる」と話していたと明言。一方、「たぶん」などと言質を取らせないような言い回しもあったという。

仲介者は「二人と同時期に、別のバングラデシュ人の難民申請者二人も同じ男に紹介した。実際に除染に行った」と説明。さらに「男はインド人、スリランカ人、ネパール人、日系人も除染に送り込んでいたようだ」とも語った。

この男については「三年ぐらい前に『仕事のない外国人を紹介してほしい』と頼まれた。本当に派遣会社の社員かは知らないし、連絡先も今は分からない」と主張。「同じバングラデシュ人を助けるためにしたことで、紹介料などは受け取っていない」と強調した。

この問題は、難民申請中のホセイン・モニーさん(50)とホセイン・デロアルさん(42)が、派遣会社を名乗る男や、実際に二人を雇用した名古屋市の建設会社に「除染作業をすればピザが延びる」と説明され、一五年に福島県飯舘村で除染作業をしたと本紙に証言したことで明らかになった。報道後、法務省が調査を進めており、近く二人から事情を聴く。「極めて重い問題で、事実が把握できれば業者を指導する」(入国管理局難民認定室)としている。

本紙は名古屋市の建設会社に取材を申し込んでいるが、十四日までに回答を得られていない。
(鈴木龍司)