(17/4/21 中日新聞)
不法残留で国外への強制退去処分を受けた静岡県のフィリピン人男性(35)が国に処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は20日、男性の訴えを退けた昨年6月の一審名古屋地裁判決を破棄し、処分の取り消しを命じた。
判決によると、男性は2007年に来日。在留期限が過ぎた後も内縁関係だったフィリピン人女性と同居し、子ども2人を育ててきた。13年10月に不法残留の疑いで静岡県警に逮捕され、14年12月、名古屋入国管理局から強制退去処分を受けた。現在は、一時的に身柄拘束を解かれる仮放免中。昨年9月に女性との婚姻が成立した。
藤山雅行裁判長は判決理由で「内縁関係は安定かつ成熟していた。処分により一家離散になりかねず、著しく人道に反する結果となる」とし、男性の不法残留については「過度に重視できない」と指摘。「処分は在留を認める事情も十分加味して検討すべきで、入管は裁量を逸脱、乱用している」と結論づけた。
名古屋入管は「判決内容を精査した上で、今後の対応について検討したい」としている。
(中日新聞)