(15/5/30 東京新聞)
2015年5月30日朝刊
【バンコク=伊東誠】ミャンマーに居住する無国籍のイスラム教徒少数民族ロヒンギャの密航問題で、関係国会合が二十九日、タイの首都バンコクで開かれた。ミャンマーは人身売買問題への対応で各国と連携する姿勢を示したが、米国などが要求するロヒンギャへの国籍付与には応じる構えを見せず、参加各国もロヒンギャの移住受け入れには消極的だった。
会合はタイが呼び掛け、インドネシア、マレーシアなど周辺十七カ国のほか、オブザーバーとして日、米、スイスが、さらに国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や国際移住機関も加わった。
席上、UNHCRのターク高等弁務官補は「この問題はミャンマーに責任があり、ロヒンギャの国籍取得が最終目標だ」と述べ、ミャンマー国民と認められないロヒンギャの地位改善を要請。これに対し、ミャンマーのティン・リヒ外務省国際機関局長代行は「わが国を一方的にやり玉にあげることはできない」と不快感をあらわにした。
ミャンマーは、人身売買組織の犯罪が密航問題の原因と主張。関係国会合にも不参加を表明していた。しかし、マレーシア、インドネシア、タイの三カ国外相会合でマレーシアとインドネシアが今も海上にいる難民の一時収容施設設置を表明したことなどから、参加に転じた。
AFP通信によると、五月上旬以降、マレーシアやインドネシアなどに漂着した難民らは三千五百人以上、漂流中の難民は二千五百人以上に上る。