東日本入管センター:2外国人死亡 医師常駐せず 支援国体、改善求め申し入れ /茨城

(14/4/3 毎日新聞)

毎日新聞 2014年04月03日 地方版

不法滞在などの外国人を収容する法務省の東日本入国管理センター(牛久市久野町)で先月下旬、イラン人とカメルーン人の男性2人が相次いで死亡した問題で、センターの医療体制の問題点を指摘する声が上がっている。センターに常駐の医師がおらず、外部受診を希望しても長期間待たされるケースがあるという。支援者団体は2日、改善を求めた申し入れ書をセンターに提出。一方、牛久署は3日に司法解剖して2人の死因を特定する。【土江洋範、中里顕】

同センターには2日現在、297人が収容されている。センターによると、医師は常駐せず、木曜を除く平日午後1~5時に外部から医師1人が派遣されている。看護師も夜間や土日は勤務していない。毎日新聞の取材に応じた元収容者らによると、センター内や外部の病院で診療を希望しても希望者が多いため、数カ月待ちの状況が続いているという。

ペルー人の元収容者の女性(53)は、虫歯の治療申請をしてから1カ月後にようやく治療を受けることができた。前歯6本を抜いたが、歯茎から出血し、痛みのあまり食事がとれず、夜も眠れなかった。「早く対応してほしかった。人権が守られていない」と訴える。あるブラジル人収容者は「このままでは何人死んでもおかしくない」と諦めの表情すら浮かべる。

収容者によると、先月30日に死亡したカメルーン人男性は2カ月前から体調不良を訴え、外部の病院での診察を求めていた。しかし、希望がかなえられないまま、先月27日に容体が急変。収容者らが職員に抗議をしたところ、「必ず病院に行かせる」と約束したにもかかわらず、センター内の診療室へ移されただけで、30日に意識不明になるまで救急搬送されなかったという。

難民問題に関心の高い市民らでつくる「牛久入管収容所問題を考える会」は2日、医師の常駐や早期の外部受診希望をかなえることを求めた申し入れ書をセンターに提出した。センターは「申し入れ書で書かれている内容の事実確認をしたうえで、改善できるものがあれば対応していきたい」としている。

難民問題に取り組む大川秀史弁護士(東京弁護士会所属)は「長期間、同じ空間に閉じ込められていると精神的・肉体的に健康を害する。24時間対応できる医療体制を整えるべきだ」と指摘している。