難民認定せず家族呼び寄せ政府が異例措置

(15/1/23 NHK NEWSWEB)

1月23日5時44分

シリアの内戦を逃れて日本で生活しているシリア人のうち、30代の男性について日本政府は難民として認定しないまま、家族の日本への呼び寄せを認める異例の措置を取りました。
専門家はシリア難民の受け入れが国際的な課題となるなか、大きな1歩と評価しています。

シリアではイスラム過激派組織「イスラム国」などによる戦闘で国外に300万人以上のシリア人が逃れており、難民の受け入れが国際的な課題となっています。
このうち、日本ではシリア人50人以上が難民申請を法務省に行いましたが、いずれも難民としては認定されず、特別な在留資格で日本に滞在しています。
これまで難民認定がないため、彼らの家族の日本への呼び寄せはできませんでしたが、日本政府は今回、難民認定がないシリア人に初めて呼び寄せを認めたことが支援団体などへの取材で分かりました。日本政府はイラクで暮らすこの男性の家族にすでにピザを発給しており、男性と家族は3年ぶりに日本で再会する予定です。

これについて難民問題に詳しい難波満弁護士は「家族の呼び寄せが認められないのは人道上問題があった。シリア難民の受け入れが国際社会の課題となるなか、日本政府の政策の重要な分岐点となりうる決定で評価できる」と述べ、日本で暮らす、ほかのシリア人についても家族の呼び寄せが認められる可能性が高いという見方を示しています。