ミャンマー難民:「事前説明と異なる長時間労働」改善訴え

(11/9/28 毎日新聞)

政治的迫害などで近隣国に逃れた難民を別の国が受け入れる第三国定住制度で、昨年タイの難民キャンプから第1陣として来日し、千葉県八街市で農業実習を受けているミャンマー人夫妻が28日、東京都内で会見を開いた。夫妻は「事前説明と異なる長時間労働を強いられ、支援者との接触も制限された」などと、受け入れ態勢の改善を訴えた。29日には第2陣の難民が入国予定だが、国際社会から非難されてきた日本の難民支援のあり方について、改めて議論を呼びそうだ。

第三国定住制度は欧米各国で先行し、日本政府は08年末に導入を決定。タイ北西部で避難生活を送るミャンマー少数民族カレン族の難民を12年までの3年間で計90人受け入れる予定だ。第1陣27人は昨秋到着し、日本語などの研修後、今春から職場適応訓練として農作業に従事していた。

会見した夫妻は8~16歳の子ども3人との5人家族。今月末に訓練期間を終え、受け入れ先の農業法人に就職予定だったが、雇用契約を結ばないことを決めた。夫妻は「朝早くから夜遅くまで仕事で家族との時間も取れない。子どもを病院に行かせる時間もない」「戦争がなく自由な生活ができると思って日本に来たのに、とても残念」と話した。在日同胞の支援を受けやすい東京都内での新生活を希望している。

この夫妻を含む2家族は今月26日、玄葉光一郎外相に対し、受け入れ態勢の改善を申し入れている。【西浦久雄】

毎日新聞 2011年9月28日 21時35分(最終更新 9月28日 21時51分)