(15/10/29 朝日新聞)
日本で今年、難民認定を申請した外国人が10月半ばまでに5500人を超え、5年連続で過去最多を更新したことが法務省への取材でわかった。このペースで増加すれば、年末には7千人に達する。アジア諸国からの申請が増加しているという。国際的に大量の難民が発生する中で、日本も対応を迫られている。
法務省によると、昨年に申請した人は前年より1740人多い5千人だった。今年は6月末に3千人を突破。7月以降、増加のペースが上がったという。
国別では昨年はネパール、トルコ、スリランカ、ミャンマーの順に多く、この4カ国で6割を占めた。今年もネパールが最も多く、アジア諸国が中心。欧州に難民が大量に流入しているシリアからの申請は、数人にとどまっている。増加の背景として法務省は、申請中は強制送還されないほか、在留資格があれば申請の半年後から働けるよう2010年に運用を変えたことがあると分析する。
申請が急増しているにもかかわらず、難民と認める例は増えていない。昨年はわずか11人。「人道的配慮」で在留を認めた人を含めても121人だった。難民の支援団体などは「法務省は就労目的の申請を強調し、保護すべき人が見落とされかねない」として、受け入れの拡大を強く求めている。
入管行政に詳しい安冨潔・慶応大名誉教授は「保護する人数を増やすだけでなく、受け入れた後の支援策が大切。政府を挙げて取り組むべき課題だ」と指摘する。(金子元希)
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<日本の難民認定> 難民条約は「人種や宗教、政治的意見などを理由に迫害を受ける恐れがある人」を難民と定め、これに従っていると法務省は説明する。難民認定されると、国民年金や児童扶養手当など日本国民と同じ待遇を受けられる。法務省は9月に運用の見直しを公表。明らかに難民に当たらない人は本格審査の前に振り分けて就労を認めない一方、アフリカで虐待を受ける女性など「新しい形態の迫害」を難民と認める方針。紛争から逃れた人は難民とは認めないが、「待避機会」として保護対象に位置づけた。