(15/9/24 朝日新聞)
日本でも難民認定の申請者は増え、昨年は5千人に達した。だが、認定数はわずか11人。人道的な配慮での在留許可も110人にとどまる。
難民条約は、難民を「人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員、政治的意見」を理由に迫害された人と定めている。日本は1970年代後半からインドシナ難民約1万1千人を受け入れたこともあったが、難民認定審査については、欧州などと比べると、条約を厳格に解釈する傾向がある。
今月、法務省が発表した難民認定制度の運用見直しでは、紛争から逃れた人々の在留を「待避機会」という考え方で認める方向を打ち出したものの、「難民条約の迫害理由にない」として、難民認定を増やす方針は示さなかった。紛争から逃れたシリア難民が急増する欧州では、条約上の難民と認める例が増え、ドイツでは15年第1四半期のシリア人申請者の9割以上が難民と認定されている。
日本政府は各地の難民向けに国連を通じた支援などを実施している。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のマイケル・リンデンバウアー駐日代表は朝日新聞の取材に「日本の財政支援はありがたい」としたうえで、難民受け入れについても「シリアの子どもに日本の病院で医療を提供したり、一時的な滞在ビザを出したりできる。シリアの大学生に奨学金を出し、日本の大学で学んでもらうこともできる」と語った。(鈴木暁子)