難民認定:法務省が制度見直し 在留許可、対象明確化

(14/12/27 毎日新聞)

毎日新聞 2014年12月27日 09時56分(最終更新12月27日 11時01分)

法相の私的懇談会「出入国管理政策懇談会」は26日、難民認定制度見直しに向けた提言を盛り込んだ報告書を上川陽子法相に提出した。保護対象の明確化や乱用的申請への厳正対処を求めている。報告書は他に、外国人技能実習制度見直しや観光立国に向けた取り組みなども提言。法務省は今年度中にも出入国管理基本計画を策定し、制度化に向けた検討に入る。

難民認定制度を巡っては認定者数が外国に比べて少なく、審査が厳しすぎるとの批判がある。昨年は3260人が申請し、認められたのは6人だった。認定とは別に「人道的配慮」で一時的な在留許可を与える場合があり、昨年は151人に認めたが許可の基準を定めた規定はない。報告書は▽国際的な人権・人道概念の発展に伴う「新しい形態の迫害」の申し立てには、難民条約の解釈と適用で的確に保護する検討を進める▽難民条約上の難民と認められなくても、国際社会の動向を踏まえ、一時的に保護する「待避機会」としての在留許可を与える枠組みを創設する ことを求めた。

一方で近年、申請者数は急増し、今年は5000人近くとみられるが大部分は観光や留学などの在留資格を持つ人という。2010年に、審査が半年を経過した場合には正規在留者に限って就労が認められるようになったこともあり、「申請し続ければ、長期間日本で働けると考える申請者が相当数いる」との指摘があった。報告書では「明らかに対象外の申請は抑止されるべきだ」とした。【和田武士】