(14/6/20 西日本新聞)
2014年06月20日(最終更新 2014年06月20日10時33分)
きょうは「世界難民の日」。難民の保護と援助への関心を高めようと、2000年の国連総会で決議した。内戦や政治的迫害で母国を離れた人々は世界中で4500万人を超すとの統計もある。
難民の受け入れと保護は国際的な課題で、難民条約に加入している日本も例外ではない。ところが日本の難民認定は先進国でも際立って厳しいと批判されている。
昨年、日本に難民申請をしたのは3260人と過去最多だったのに、認定はわずか6人だった。前年より12人減って16年ぶりの1桁だ。激しい内戦が続くシリアを逃れた人の申請も全て退け、人道配慮による在留許可しか認めなかった。難民認定は当該国や個人の事情に基づくため一概に評価するのは難しい。だが他の先進国が千~万人の単位で認定している現状からみると確かに厳しいといえる。
難民認定には証拠が不十分でも積極認定を促す国連の指針もあるが、日本政府は法的拘束力がないとして事実上無視している。
疑問なのは、なぜここまで間口が狭いのか、その理由を政府が明確に説明していないことだ。中東を含むアジアは世界で最も多く難民が発生している地域で、日本への期待も高まっている。
「積極的平和主義」を掲げるなら難民認定も積極的に取り組んではどうか。
また昨年は、申請を退けられた人の異議申し立てを第三者の有識者が判断する難民審査参与員の形骸化も浮き彫りになった。参与員多数の判断を谷垣禎一法相が初めて覆し、難民と認めないケースがあった。参与員は認定制度の公平性、透明性を高めるものと法務省が説明してきた経緯もあり、難民支援団体などが抗議している。
法務省は難民認定制度の見直し作業を進めている。ただ、目的は難民申請の増加に対応するものだといい、国内外の批判に正面から向き合った姿勢とは言い難い。
一方で政府の成長戦略は外国人活用を打ち出している。難民認定だけは別問題で済むだろうか。国際社会に通用する基準で外国人受け入れの具体策を探るべきだ。