(16/6/20 朝日新聞)
「世界難民の日」の20日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が、世界の難民らの動向に関する年次報告書を公表した。2015年末現在で、難民や国内避難民、亡命申請者からなる「避難を余儀なくされた人々」は6530万人に達し、過去最多を記録した。
内訳は難民が2130万人、国内避難民4080万人、亡命申請者320万人。全体で前年と比べて580万人増えた。1996年は3730万人だったのが、20年間で1・75倍になった。近年では、11年に4250万人を記録して以降、増加が続いている。
難民を生んでいる国や地域はパレスチナ520万人のほか、シリア(490万人)、アフガニスタン(270万人)、ソマリア(110万人)など。シリアの難民は250万人を受け入れているトルコや、レバノン、ヨルダンなどへ流入している。アフガンからはパキスタンとイランなどへ、ソマリアはエチオピアやケニア、イエメンなど、行く先は周辺国が中心となっている。
一方、国内避難民が多いのは、コロンビアの690万人、シリア(660万人)、イラク(440万人)、スーダン(320万人)、イエメン(250万人)、ナイジェリア(220万人)などとなっている。
グランディ難民高等弁務官は「避難した人々の声が(政治)指導者たちに届くように望む。(主要原因の)紛争を止める政治的な行動が必要だ」と訴えた。(ジュネーブ=松尾一郎)