(16/6/20 東京新聞)
【ジュネーブ=共同】国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は二十日、武力紛争などで国外に逃れた難民や難民申請者、国内で住居を追われた避難民の総数が二〇一五年末時点で計六千五百三十万人に上ったとの報告書を発表した。第二次大戦後で最多だった一四年末の計五千九百五十万人を上回った。六千万人を超えたのは大戦後初。二十日は国連が定める「世界難民の日」。
一四年末から一五年末の一年で五百八十万人増加した計算となる。長引くシリア内戦や過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭を受け、中東などから欧州諸国に難民や移民が大量流入したことが背景にある。
欧州連合(EU)とトルコは今年三月、ギリシャへの密航者を原則トルコに送還することで合意し、主要ルートだったトルコからギリシャへの難民流入は大幅に減少した。しかし、リビアなどからイタリアに渡るアフリカ系難民らは依然として増えている。
UNHCRのグランディ高等弁務官は「難民だけでなく、人類全体のために一丸となって取り組む意志が試されている」と指摘し、シリアなどの和平に向けて一層の外交努力を各国に促した。
一五年末時点の難民の出身国は、シリアが一四年末に続き最多の約四百八十七万人。約二百六十七万人のアフガニスタン、約百十二万人のソマリア、約七十八万人の南スーダン、約六十三万人のスーダンの順だ。
受け入れ国別では、トルコが約二百五十四万人で最多。次いでパキスタンの約百五十六万人、レバノンの約百七万人だった。