(12/9/25 NHKニュース)
日本政府の「第三国定住制度」を利用して、タイの難民キャンプから日本への移住を希望していたミャンマー難民が、日本での生活への不安などを理由に全員が辞退し、ことしの希望者が1人もいなくなったことが分かり、今後、制度の見直しが迫られそうです。
日本政府は、紛争や迫害を逃れて別の国で暮らす難民を支援する「第三国定住制度」をおととしから導入し、タイ北西部の難民キャンプから、これまでに9家族、45人のミャンマー難民を受け入れてきました。
ことしは、3家族16人が日本行きを希望し、今月末の出発を目指して日本語の勉強など、事前の研修を受けていました。
しかし、日本での生活への不安などを理由にすべての家族が途中で研修をやめて、難民キャンプに戻り、ことしの希望者は1人もいなくなったことが現地での取材で分かりました。
妻と4人の子どもを連れて日本行きを考えていた男性は、「日本の高い技術力を子供たちに学ばせたいと思いましたが、頼れる友人が日本にいないという不安をぬぐえませんでした」と話していました。
日本政府は、来年以降も制度を継続する方針を決めていますが、ミャンマーの民主化の動きを受けて、難民キャンプから祖国への帰還を望む人も増えていて、今後、対象となる難民の条件や受け入れ態勢の強化など、制度の抜本的な見直しが迫られそうです。