「第三国定住」考える集い ミャンマー難民5家族来日へ

(2010/9/24 朝日新聞)

軍事政権下のミャンマー(ビルマ)を逃れ、タイの難民キャンプに暮らす少数民族カレン族の5家族27人が28日に来日する。迫害や紛争から逃れた難民を第三国が受け入れる「第三国定住」の第一陣。日本の難民政策の転機とも位置づけられるこの第三国定住を考える集いが23日、大阪市港区の弁天町学習センターであり、市民団体の日本ビルマ救援センター(大阪市城東区)が来日予定の難民との面談の様子を紹介した。

同センターは毎年、タイの難民キャンプに募金を届けるなどの支援活動をしてきた。この日は中尾恵子代表(52)がタイ北西部の約4万人が暮らすメラ難民キャンプに8月に訪れたときのことを話した。

家族4人で来日を決めた男性(24)は「故郷に帰れる見通しはなく、ここにも将来がない」と第三国定住に応じた動機を語り、製造業の仕事につくことを希望。妻と子ども5人の家族7人で来日する男性(36)は「日本に帰化する覚悟でがんばる。先進国の高い技術を学び、農業で生計を立てたい」と語ったという。

ビルマ難民の第三国定住は、欧米諸国はすでに5万人以上を受け入れているが、アジアでは例がない。中尾代表は「今回の日本の取り組みは、アジアでも第三国定住が広がるモデルとなる可能性がある」と語る一方、現時点では定住地も就労支援も「白紙状態にある」と日本政府の対応の遅れを指摘。難民からは日本での定住には、地震や自殺者の多さを心配する声があることも説明した。同センターは、難民が関西での定住を希望した場合に、生活支援に乗り出すことも検討するという。(武田肇)