(17/12/4 朝日新聞)
ニューヨーク=金成隆一 2017年12月4日10時10分
米国連代表部は2日、国連の難民・移民の保護強化をめざす交渉プロセスから米国が離脱すると発表した。世界の難民らの保護について国際社会のより公平な負担を目指すものだが、「米国第一」を掲げるトランプ大統領が方針に合わないと判断した。
国連総会は、オバマ前政権時代の2016年9月、世界の難民の受け入れや支援について「負担と責任のより公平な分担を誓約する」と明記した「ニューヨーク宣言」を採択。移住者の扱いの原則や手法などに関する新たな枠組みを18年に策定することを目指し、交渉が進んでいる。
米代表部は「同宣言はトランプ政権の移民政策の原則と相いれない内容を非常に多く含む。トランプ大統領が米国の参加終了を決めた」と発表した。
ヘイリー国連大使は「米国は世界の移民・難民支援で指導力を発揮してきたことを誇りにしている。米国ほど貢献した国はない」と実績を強調。その上で「米国の移民政策は常に米国人単独で決定されなければならない。国境の最良の管理方法や誰に入国を認めるかなどは我々が決める。ニューヨーク宣言は米国の主権と両立しない」と述べた。
同宣言を採択した昨年の国連総会は、紛争などで家を追われた人々が6500万人超と第2次世界大戦後で最大となる中で開幕し、難民問題を最大のテーマの一つに掲げていた。
トランプ政権は、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」離脱や、ユネスコ(国連教育科学文化機関)脱退を表明してきた。「失業や貧困、薬物汚染など国内問題解決を優先して欲しい」という一定の有権者に支持されている。(ニューヨーク=金成隆一)