ラフィック 認定申請や生活を支援 難民と共に暮らせる街へ

(18/9/3 毎日新聞 大阪版 「おおさかの市民パワー」)

【写真】ラフィックの難民初級講座=大阪市淀川区で
【写真】難民の声を紹介したラフィックのパンフレットから

関西を中心に「難民と一緒に暮らせる街」を目指して支援活動を続けているのがRAFIQ(ラフィック、在日難民との共生ネットワーク)だ。

難民とは、人種、宗教、国籍、政治的意見などを理由に、出身国で迫害を受ける恐怖や状況がある――などの条件を満たす人。

世界の主要先進国の難民認定率が30~60%なのに対し、日本の認定率は0・1%。大阪でも2017年の難民認定申請者192人に対し、認定されたのは1人だけ。こうした「難民鎖国」を竹垣仁繁さん(講座担当)は「日本には独立した難民認定機関がなく、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が示す国際的な解釈基準を無視して難民に一方的に立証責任を課すなどしている」と指摘する。

ラフィックは認定申請での助言、書類作成などの支援(法的支援)に取り組む。
インターネットでニュースをチェックして迫害を立証するための資料を探したり、それを日本語に翻訳するのも重要な活動だ。

難民認定されない人は就労が許可されなかったり、健康保険に加入できないなど、基本的な生活が保障されずに困窮する。これに対し、他の機関と連携して医療、食事、住居確保などの生活支援を実施する。

活動の拠点は、関西在住の市民から提供された古い民家を16年10月に改装した「OSAKAなんみんハウス」。1階が事務所、2隋は学習室とシェルター(一時避難所)。住居を持たない難民はここで生活することが可能だ。

日本に住む難民の保護には、市民らに難民の人権問題の現状や現行制度がどうなっているのかを理解してもらうことが大切という。このため、初歩から問題を知る「難民初級講座」を毎月第2土曜日の午後2時から開いている。

現在、ラフィックの会員(年会費3000円、学生1000円)は会社員、学生、主婦、パートタイマー、退職者ら約130人。うち約80人がボランティア登録している。活動できる時間や語学などの特技、志向によって、生活支援、法的支援、市民啓発、事務所手伝いなどに可能な範囲でかかわれる。

大学生や高校生ら若い世代の参加者が多いのも大きな特徴だ。ラフィックの若手有志の集い「GLORRY(グローリー)」もあり、自主的にゼミや講座、文化祭などのイベントを開催している。

ラフィックの発足は02年。きっかけは現在の共同代表、田中恵子さんらがアフガニスタン難民の支援に関わったことだった。前年からのアフガニスタン紛争以降、在日アフガン人は自国情勢が分からないまま日本に残って在留期限が切れ、不法滞在者として旧・西日本入国管理センター(廃止)に収容されていたという。

テロ支援とされたタリバン政権側と戦っていたハザラ人がほとんどだった。田中さんは「私が出会った難民で、認定された人を知りません。仮放免された方と一緒に問題を考えました。今も仮放免中の人もいますが、日本を頼ったのに、泣く泣く帰った人のことが忘れられません」と話している。

寄付やボランティアを求めている。 【大島秀利】

RAFlQ(ラフイツク、在日難民との共生ネットワーク)
名称由来:叢初に支援したアフガニスタン難民の母国語で友だちを意味する。ペルシャ語・アラビア語。
所在地:大阪市淀川区乗三国4の9の13
TEL・FAX:06・6335・4440
メール:rafiqtomodati@yahoo.co.jp
ホームページ:http://rafiq.jp