強制送還時急死、遺族の賠償請求を棄却…高裁

(16/1/18 読売新聞)

不法滞在で強制送還される際に急死したガーナ人男性(当時45歳)の妻ら遺族2人が、国に1億円超の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は18日、約500万円の賠償を国に命じた1審・東京地裁判決を取り消し、原告の請求を棄却する判決を言い渡した。

滝沢泉裁判長は「男性の死因は心臓疾患による不整脈で、入国管理局の職員に過失はなかった」と述べた。

男性は2010年3月、送還の際に航空機内で大声を出したなどとして入管職員に猿ぐつわをされ、両手首を結束バンドで固定されて前かがみで座っていたところ、動かなくなり、その後に死亡した。

1審判決は、男性の死因を前かがみの体勢を強制されたことによる窒息死とし、職員の過失を認定したが、高裁判決は「制圧行為が不整脈を誘発した可能性は否定できないが、死亡は予見できなかった」と判断した。