シリア難民、留学生で受け入れ 日本のNPOが6人招く

(17/2/9 朝日新聞)

機動特派員・織田一 2017年2月9日 16時00分

トルコで2016年10月にあったインターネット電話での面接。日本にいる難民支援協会のスタッフからの質問に答える留学希望のシリア人難民の2人(手前)=難民支援協会提供

NPO法人難民支援協会(東京都新宿区、石川えり代表理事)は9日、日本語学校と協力して、シリア難民の若者を留学生として受け入れる事業を始める、と発表した。学生は日本語学校の学費は免除されるが、家賃や生活費は自己負担する。まず今年4月、6人を迎え入れる。民間主導で海外の難民を積極的に招く試みは日本では初めて。

シリア難民を巡っては、日本政府が今後5年で300人規模を留学生とその家族として受け入れることにしている。

同協会によると、来日する6人はシリアからトルコに逃れていた10代と20代の難民。首都圏と関西圏にある日本語学校2校の留学生として2年間、日本語を勉強する。学校が借り上げたアパートに住む。家賃や食費などは他の留学生と同様、週28時間以内のアルバイトで得た収入で払う。

日本までの航空運賃は難民支援協会が支給する。一時帰国や帰国の費用は自己負担。同協会は、既存の国内のシリア人支援団体との関係作りや、定期的な面談を通じて生活面などでの助言をする。

「留学期間が終わった後は基本的に日本の大学か専門学校に通うことになるだろう」と同協会。プログラムに必要な800万円は寄付でまかなう。

昨年夏、インターネットで、高校卒業の資格がある26歳以下のシリア人の若者を対象に募集。200人を超える応募があり、今回はトルコで保護されている難民143人から書類選考と面接で6人に決めた。

民間が主導して積極的に難民を受け入れる仕組みは1978年にカナダで始まった。ベトナム難民の受け入れ促進が狙いだった。

混乱が長期化しているシリアから約480万人が周辺国などに逃れているとみられ、カナダのほかドイツなどでも「民間主導」の受け入れが増えている。

日本は欧米の先進国に比べて難民の受け入れ人数は圧倒的に少ない。難民支援協会は「様々な形での受け入れの可能性を提示し、民間主導の仕組みを広げていきたい」と言う。(機動特派員・織田一)