大阪)「難民知って」 14日、アフガン国籍男性講演

(17/1/12 朝日新聞)

村上英樹 2017年1月12日 03時00分

母国を追われ、日本に逃れてきたアフガニスタン国籍の男性が14日、大阪市浪速区のリバティおおさかで講演する。「アフガニスタン難民の話を聞こう!」と題し、生い立ちや難民になった経緯などを語る。男性は「難民のことを考えるきっかけになれば」と話している。

リバティおおさかで開催中の「難民展」の企画。講演は午後2~4時で、参加費500円(高校生以下100円、別途入館料が必要)。

男性は、アフガニスタン西部のヘラート地方出身の少数民族ハザラ人で、現在、同志社大社会学部4回生のイーダック・モハド・レザさん(35)。レザさんや支援する森田基彦弁護士(京都弁護士会)らによれば、レザさんは地元のキリスト教系の非営利組織で英語を学び、孤児を支援するNGO「ラーラ会」(本部・奈良県生駒市)の現地スタッフになった。2011年9月、キリスト教徒の嫌疑があるとして宗教裁判所から勾留されたり、タリバーン構成員に自宅を襲撃され暴行を受けたりした。

レザさんは身の危険を感じ、支援者が用意した飛行機のチケットで同年11月、日本に入国した。翌月、難民認定を申請したが認められず、異議申し立ても14年に棄却。大阪地裁で難民不認定処分の取り消し訴訟を係争中だ。この間に同志社大に入り、現在留学ビザでの滞在が認められている。

法務省によれば、国内の一昨年の難民認定申請者数は7586件と10年前の約8倍に増えたが、認定されたのはわずか27人。他の先進国(ドイツ約13万8千人、アメリカ約2万3千人、イギリス約1万5千人=RAFIQ〈在日難民との共生ネットワーク〉調べ)に比べて低さが際立つ。

訴訟代理人も務める森田弁護士によれば、日本で難民認定がされにくいのは難民条約が定める「難民」の定義が厳格に適用されるためだ。例えば、難民の定義のうち「人種や宗教、政治的意見などを理由に迫害を受ける恐れがある」ことの認定の判断に行政の広い裁量が認められる上、その証明責任が申請者側にある。「着の身着のままで逃げた人は証拠を集めるのは難しい」と森田弁護士はいう。

レザさんは週に1度程度インターネットカフェに行き、祖国の母や2人の妹とインターネットで会話するのが楽しみだ。現在、大学院進学に向けて勉強中で、「宗教にとらわれない教育を子どもたちに受けさせる仕事に就くこと」を目指している。国家による宗教の押しつけや差別の体験から、政教分離や信教の自由が憲法に明記される日本を素晴らしい国だと思う。その半面、周囲に難民のことを知らない人が多いことを残念に感じるという。

難民展を主催するRAFIQの田中恵子代表は「難民一人ひとりにレザさんのようなストーリーがある。弱い人の立場に立って、難民と共に生きる社会が日本にも求められている」と話す。同展では、国連が支給する難民キャンプのテントや食器や鍋、写真パネルなどを展示。3月18日まで。(村上英樹)