(16/9/8 中日新聞)
2016年9月8日09時00分
難民認定申請を国が認めなかったのは不当だとして、愛知県内のネパール人男性(59)が処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は7日、男性の訴えを退けた一審判決を破棄し、不認定処分の取り消しを言い渡した。
藤山雅行裁判長は判決理由で、男性が本国で生活していた当時、政府と激しく対立していたネパール共産党毛沢東主義派から寄付や食事を要求されたり、「殺すぞ」などと脅されていた事実を認定。「男性がネパールに戻れば迫害を受ける恐れがあると考えることには合理性があった」と指摘した。
判決によると、男性は毛派による迫害への恐怖などから2002年に来日。11年に難民申請したが、国は同年に不認定処分とした。男性は14年、国に処分の取り消しを求め名古屋地裁に提訴したが、一審判決は請求を棄却。男性は控訴し、「不認定処分の当時、毛派の暴力的活動は解消されておらず、帰国すれば迫害される恐れがあった」などと主張していた。
今後、国が上告せず判決が確定すれば、男性は再び難民認定申請をすることができる。
難民申請を巡っては、名古屋高裁が7月にもウガンダ人女性の同様の訴えを認め、一審判決を破棄したばかりだが、ネパール人男性の代理人弁護士によると、控訴審で不認定処分が覆るのは珍しいという。
(中日新聞)