(15/3/10 朝日新聞)
北沢拓也 2015年3月10日19時39分
日本で難民認定を求める外国人が昨年、初めて5千人に達した。法務省が10日発表した。一昨年に初めて3千人を突破したが、さらに5割増えて過去最高を大幅に更新した。就労目的で来目した外国人の難民申請が増えていることが要因の一つとみられる。一方、難民と認定された外国人はわずか11人にとどまり、日本の認定基準の厳しさが改めて浮き彫りとなった。
法務省入国管理局によると、難民認定を申請した人は、10年前の2005年には384人だったが、13年は3260人、昨年は5千人だった。国籍別では、ネパールが1293人で初めて最多となり、トルコ(845人)、スリランカ(485人)の順に多かった。
日本は繰り返して難民申請ができ、申請中は強制送還されない。また10年にあった制度変更によって、在留資格を持つ人に限り、申請の半年後から就労が認められる。入管局は「こういった制度が口コミで広がり、申請急増につながっている」と分析する。うその申請を手助けするブローカーの存在も明らかになっており、入管局は昨年、ネパール人の男を摘発した。
一方、難民と認定された人は、過去10年で最少だった前年の6人から5人増えただけだった。難民とは認めないものの、「人道的配慮」を理由に保護された人は110人で、前年より41人減った。難民は「人種、宗教、政治的な迫害の恐れ」を理由に認められるが、日本はその審査が厳格で、数万人規模で受け入れる欧米諸国より極めて少ない状況は変わっていない。
こうした現状に対する諸外国の批判を和らげるため、法務省は05年以来の抜本的な制度の見直しに着手している。人道的配慮の定義を明確にするほか、明らかに対象外な人の審査の簡略化も検討している。(北沢拓也)