(18/5/23 東京新聞)
2018年5月23日朝刊
【ミャンマー西部マウンドー=北川成史】ミャンマーで迫害を受けたイスラム教徒少数民族ロヒンギャが隣国バングラデシュに逃れている問題で、ミャンマー政府は二十一日から三日間の日程で、本紙など外国メディアに、ミャンマー西部ラカイン州のロヒンギャの居住地や帰還した難民用の施設を公開した。
政府は昨年九月にロヒンギャ十人が兵士らに殺害されたインディン村への立ち入りを短時間許可した。
ロヒンギャが住んでいたとみられる場所は焼けた跡があったほか、整地されて国境警備隊の建物が造られていた。
虐殺事件では、兵士七人が懲役十年の判決を受けたが、仏教徒少数民族ラカインの女性(45)は「事件は知らない。イスラム教徒らは自分たちの家を燃やして逃げた」と話した。
政府はマウンドー郊外に、帰還した難民の一時滞在用キャンプを建設している。担当者は「六百二十五戸のうち五百九十七戸が完成した」と強調したが、電気を引く工事や粗雑な作業の手直しが残っていた。
人権団体は軍がラカイン州で迫害の証拠を隠すため、居住地を整地していると指摘している。公開は、証拠隠滅や難民帰還の遅れへの国際的な批判をかわす狙いがあるとみられる。
昨年八月にロヒンギャ武装勢力と治安部隊が衝突後、ロヒンギャの殺害や焼き打ちが起き、約七十万人がバングラデシュに逃れた。
【写真】22日、ミャンマー西部インディン村で銃を提げて警戒する警官。国境警備隊の建物(奥)の建設が進む=北川成史撮影