(18/1/23 東京新聞)
2018年1月23日朝刊
【ヤンゴン=北川成史】ミャンマーで迫害され、バングラデシュに逃れているイスラム教徒少数民族ロヒンギャ難民の帰還開始が、予定された二十三日から延期されることになった。バングラデシュの担当者が二十二日、AFP通信などに明らかにした。準備不足が理由で、帰還開始の見通しは再び分からなくなった。
バングラデシュの担当者は、難民をミャンマー側に引き渡す前に一時滞在する施設の建設や帰還対象者のリスト作成が遅れていることを理由に挙げている。
両政府は十六日、帰還を二十三日に開始し、二年ほどで完了させる方針で合意していた。
ミャンマーの与党・国民民主連盟(NLD)の中央執行委員会メンバーのウ・ハンタミィエン氏は二十二日、本紙の取材に「ミャンマー側の受け入れ準備はできている。帰還を開始できるかどうかはバングラデシュの問題だ」と答えた。
帰還希望の難民は、バングラデシュの施設に一時滞在した後、ミャンマーが開設した施設に移動し、身元確認や武装勢力との関係の有無についてチェックを受ける予定だった。その後、ミャンマー西部ラカイン州などの自宅に戻るか、自宅が焼失している場合は政府による住宅再建までキャンプ施設で暮らす手はずになっていた。
昨年八月二十五日にラカイン州で、ロヒンギャ武装勢力とミャンマー治安部隊が衝突した後、激しい迫害を受けてバングラデシュに逃れた難民らは六十八万人を超えている。