バングラでの医療支援 難民の苦境伝える

(18/1/18 読売新聞)

2018年01月18日

武蔵野赤十字病院の中司医師が帰国

 昨年11月からバングラデシュで難民の医療支援に当たっていた武蔵野赤十字病院(武蔵野市)の中司峰生医師(42)が17日、同病院で帰国報告会を開いた。同国を巡っては、隣国ミャンマーのイスラム系住民「ロヒンギャ」が難民として逃れている。中司医師は「人々は低栄養や感染症に苦しみ、劣悪な環境で暮らしていた」と語った。

 昨年11月24日に日本をたった中司医師は今月11日までの派遣期間、現地で医療支援に当たった。中司医師によると、バングラデシュ南東部コックスバザールの難民キャンプで、難民たちは竹を組み、防水シートをかぶせたテントで生活。一つのテントに30人ほどがひしめき、雨が降ると土砂がテントの中に流れ込むこともあった。

 食事は1日1食程度。トイレの数も足りない劣悪な環境の中、はだしで生活する難民たちは下痢や皮膚疾患、呼吸器感染症の症状に悩まされていた。中司医師は「難民キャンプ特有の疾病が多い一方、異常所見がないのに痛みを訴える人も多かった。生活を追われた人の苦しさは計り知れず、緊張感を持って診察に当たった」と話した。

 ジフテリア感染も広がる中、現地の診療所で1日100人~150人を診察し、手が回らないこともあったという。中司医師は「この経験を生かし、今後も臨床医として働きつつ、赤十字の仕事を手伝っていきたい」と語った。