(17/9/20 東京新聞)
2017年9月20日朝刊
【バンコク=北川成史】ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相は十九日、首都ネピドーで演説し、国際的な批判が高まるイスラム教徒少数民族ロヒンギャへの迫害問題について「平和と安定、法の支配の回復に力を入れる」と強調し、ロヒンギャへの国籍付与の検討や隣国バングラデシュに逃れた難民の帰還を認める方針を表明した。
スー・チー氏は「ミャンマー政府に責任回避の意図はない。人権侵害と暴力を非難する」と主張。「現政府が発足して今月末で十八カ月になるが、全ての課題を克服するには日が浅すぎる」と釈明した。
さらに「いつでも難民の地位を検証する用意がある。難民と証明された人は帰還が認められるだろう」と帰還希望の難民の身元確認開始を表明。「国際的な調査を恐れない」と国連などの調査受け入れに前向きな姿勢を示した。ミャンマーはこれまで国連人権理事会の調査を拒否している。
演説は約三十分間。西部ラカイン州でロヒンギャ系武装集団と治安部隊の戦闘が八月二十五日に始まって以来初。国際社会の批判を意識して英語が使われ、各国外交官も招かれた。