国連安保理緊急会合 ロヒンギャ問題で戦闘を非難

(17/9/14 NHKニュース)

9月14日 6時43分

ミャンマー西部で、少数派のイスラム教徒、ロヒンギャの武装勢力と治安部隊の戦闘が続く中、国連の安全保障理事会は緊急会合を開き、議長は、戦闘を非難するとともに治安部隊の軍事行動に懸念を表明することで一致したことを明らかにしました。

ミャンマー西部では、ロヒンギャの武装勢力と政府の治安部隊の戦闘の影響で、これまでに37万人のロヒンギャの住民が隣国バングラデシュに避難したと見られ、国連の人権高等弁務官が「民族浄化のように思える」と指摘するなど、ミャンマー政府への非難の声が高まっています。

こうした事態を受けて、安保理は13日、イギリスなどの要請を受けて非公開の緊急会合を開催しました。会合のあと、議長を務めるエチオピアのアレム国連大使は記者団に、「治安部隊が襲撃された事件をきっかけに、37万人もの難民を生んだ暴力の連鎖を非難する。治安部隊が行きすぎた暴力を働いているという報告に懸念を表明する」と述べ、安保理として初めてミャンマーでの戦闘を非難するとともに、懸念を表明することで一致したことを明らかにしました。

また、国連のグテーレス事務総長も、安保理の会合に先立って記者会見し、国際社会の最も差し迫った懸念はミャンマー情勢と北朝鮮の核問題だと指摘したうえで、「ミャンマー当局に軍事行動の停止による暴力の終結と、法の支配の順守、避難民の帰還の権利尊重を呼びかける」と述べ、ミャンマー政府に直ちに戦闘をやめるよう求めました。

 各国大使がロヒンギャ難民キャンプを視察

隣国ミャンマーからこれまでにおよそ37万人のロヒンギャの人たちが避難しているとされるバングラデシュで、13日、現地に駐在する各国の大使などからなる外交団が複数の難民キャンプを視察しました。

視察したのは、アメリカやイギリス、日本など、バングラデシュに駐在するおよそ40の国や機関の外交官で複数の難民キャンプを見て回りながら、ロヒンギャの人たちからキャンプでの生活状況などを聞き取ったりしていました。

視察を終えたバングラデシュ駐在のイタリアのマリオ・パルマ大使は「われわれはこの大きな問題の永続的な解決について、そして、ロヒンギャの人たちの権利について考えなければならない」と述べたうえで、「ミャンマー政府はこの問題を解決するため、ロヒンギャの人たちに市民権を与えるべきだ」と訴えました。

 アメリカ国務省報道官「暴力的状況を非常に懸念」

アメリカ国務省のナウアート報道官は、13日の記者会見で、「現地の暴力的な状況を、非常に懸念している」と述べ、多くの住民が避難を強いられ、深刻な人権侵害が起きているとの疑いがあることにアメリカ政府として改めて懸念を表明しました。

この問題をめぐっては、国連の人権高等弁務官が「民族浄化のように思える」と発言するなど、ミャンマー軍が主導する治安部隊が少数派のイスラム教徒ロヒンギャの人たちを迫害していると非難が強まっています。

ナウアート報道官は会見で、大量虐殺や民族浄化にあたるかについては言及を避けながらも、「われわれは治安部隊と住民による、たび重なる人権侵害の報告を目にしており、それらは不愉快なものだ」と述べ、現地の状況を引き続き注視していく考えを示しました。