(18/7/24 東京新聞)
政府は二十四日、外国人労働者の受け入れ拡大に向けた関係閣僚会議を首相官邸で開いた。安倍晋三首相は「来年四月を目指して準備を進めたい」と体制の早期整備を指示。政府は法務省入国管理局を改編し、受け入れを一元的に担う新たな官庁の創設に向けて検討を始めた。受け入れ環境の整備を効果的、効率的に進めるには司令塔機能を果たす組織が必要と判断したもようだ。
上川陽子法相は閣議後の記者会見で「入国管理庁のような外局を設けることも含め、適切な組織体制、人員確保を速やかに検討したい」と述べた。
深刻な人手不足を背景に、政府は新たな在留資格創設で、単純労働分野での就労に事実上、道を開く。今後、対象となる業種や制度の悪用を防ぐための在留管理体制強化などを検討し、秋の臨時国会で入管難民法改正案を提出する方針だ。
閣僚会議には安倍首相や上川法相のほか、世耕弘成経済産業相、加藤勝信厚生労働相らが出席。
安倍首相は「法案の早期提出、受け入れ業種の選定などの準備を速やかに進めてほしい」と指示。「外国人が円滑に生活できる環境を整備することは重要な課題」とも述べた。
新たな在留資格創設は六月に閣議決定した骨太方針に盛り込まれた。新在留資格では、原則として在留期間の上限を通算で五年とし、家族の帯同は認めない。中小企業のほか、介護や農業などでの活躍が期待されている。
業界ごとの技能試験や日本語能力試験などで一定水準を満たすことが要件だが、技能実習を三年以上経験した場合は試験を免除する。従来は専門知識を持つ労働者に限って受け入れており、ハードルが下がる。
外国人労働者の受け入れ.拡大は今年二月の経済財政諮問会議で安倍首相が検討を指示した。対象業種は当初、介護と農業、建設、宿泊、造船の五分野で検討してきたが、製造業や水産業にも拡大する方向だ。
<入管難民法> 日本への出入国に関する手続きや外国人の在留資格などを定めた法律。不法滞在の外国人に対する強制退去や、難民認定についても記されている。在留資格は外交や公用のほか、研究や教育など36種類ある。政府はこれまで人手不足解消や経済活性化を目的に、入管難民法改正を通して「高度専門職」などの新たな在留資格を創設してきた。