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なんみんハウス資料室便り 映画編 第1号「海は燃えている」

こんばんは。なんみんハウス資料室室長のnonomarun@「資料室長」じゃなくて「資料室室長」だよ、ちゃんと舌かんでね。 です。

土曜日から公開された『海は燃えている イタリア最先端の小さな島』http://www.bitters.co.jp/umi/を、シネ・リーブル梅田で観てきました。http://www.ttcg.jp/cinelibre_umeda/結構お客さん入ってましたよ〜


さて、内容はもちろん実際に観に行っていただきたいので、詳しく触れませんが、音楽もなく、ごり押しの感動を求めるのでもなく、淡々としたドキュメンタリーです(それが良いのです)。舞台はアフリカ大陸に最も近いイタリア最南端の島ランペドゥーサ島。漁民や主人公サムエレ(13歳・この子が最高〜)の日常生活、それに挿入されるリアルな難民救助の場面。二つは交差する現実であるはずなのに、海上で保護され(生き残れた幸運な難民だけです)、そのまま島の収容センターに入れられるため、地元の人々は自分の島で何が起こっているのかさえ、ラジオを通してしか知らず、遠い国の出来事のように感じています。それは何だか日本の現実を観ているようでした。遠い国で起こっている紛争と難民の姿。でも日本にはすでに1万人を超す難民がいて、彼らは私たちの隣にいま座っているかもしれないのに。


観られた方は是非、パンフレットの購入をお勧めします。なんと、監督のジャンフランコ・ロージ監督は、日本にきて自ら渋谷でサンドイッチマンとなり、また立教大学で難民支援に関わる学生達と特別試写会を開いています。そして日本の難民受入数を聞いて驚き、「そのような態度は政治的敗北だ」と言い切っています。映画の冒頭で、難民船からのパニックになっているSOS発信に対して、イタリア沿岸警備隊から「what’s your position?」と繰り返し無線が返されます。監督が言うには、これはメタファー。つまり観客に対して「あなたはどのポジションにいるのか?」と問うているのです。だからこそ「日本で上映する意味はとても大きい」と。そしてパンフレット最後には、地中海の難民事情と、日本の難民事情が表も用いて詳細に解説されています(これ、RAFIQの宣伝にそのまま使いたいぐらい!!ちなみに、パンフレットも資料室へ置いちゃいます!)

「what’s your position?」 ひとりひとりが、この問いに答えてみませんか?

パトリック・キングズレー(藤原朝子訳)『人類に突きつけられた21世紀最悪の難問 シリア難民』ダイヤモンド社、2016年11月この本を読むと、よりこの映画の背景がわかります!! もちろん、資料室にございますとも!!カモン!!

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映画『海は燃えている』

『海は燃えている』http://www.bitters.co.jp/umi/


この映画に関連して、資料室所蔵書籍の情報です。以下2冊の本は資料室にあります。※映画パンフレットもあります。


この映画の舞台になっているイタリアの島々の救助活動や援助政策打ち切り後の様子、リビアの難民待機所、密航業者の実態などは、パトリック・キングズレー(藤原朝子訳)『人類に突きつけられた21世紀最悪の難問 シリア難民』(ダイヤモンド社、2016年11月)に詳細なルポがあります。 また、もとから人口過密なマルタ島に流れ着いた難民の劣悪な収容の状況については、マッケンジー・ファンク(柴田浩之訳)『地球を「売り物」にする人たち 異常気象がもたらす不都合な「現実」』(ダイヤモンド社、2016年3月)に現地ルポがあります。


『海は燃えている』と同じ題材の映画(イタリアの漁民たちが難民を助ける)は、『海と大陸』があります。
 http://www.minpaku.ac.jp/museum/event/fs/movies1411