カテゴリー: 書籍

なんみんハウス資料室便り 8号

マッケンジー・ファンク(柴田浩之訳)『地球を「売り物」にする人たち 異常気象がもたらす不都合な「現実」』ダイヤモンド社、2016年3月

こんにちは。なんみんハウス資料室室長のnonomarun@二日連続の資料室だより発行は初めてよ。やればできるコなんだから! です。


Twitter、FBでも発信されましたが、なんみんハウス資料室の本に、事務所お当番ボランティアの方々が所蔵印を捺してくれました!なんみんハウスのロゴで作ったかわゆい判子を空色インクで。数冊ほど「あれっ 逆さまに捺してある!」てのもありますが、それは、別の日に鼻歌歌いながらテキトーに捺してた時に発生した事件で、犯人は室長です。てへ。レア物だから、是非見つけてみてね(^◇^;)                                                          

マッケンジー・ファンク(柴田浩之訳)『地球を「売り物」にする人たち 異常気象がもたらす不都合な「現実」』ダイヤモンド社、2016年3月

プロローグ ——気候変動に「投資」する人たち

第1章       コールドラッシュ ——カナダ、北西航路を防衛す

第2章       シェルが描く2つのシナリオ ——気候変動を確信した石油会社は何を目指すのか

第3章       独立国家「グリーンランド」の誕生は近い ——解けるほどに湧き出す請求、露出するレアメタル

第4章       雪解けのアルプスをイスラエルが救う ——人工雪と淡水化というおいしいマーケット

第5章       災害で利を得る保険ビジネスの実態 ——保険会社AIGと契約する民間消防士

第6章       水はカネのあるほうへ流れる ——投機対象になった「次世紀の石油」

第7章       農地強奪 ——ウォール街のハゲタカ、南スーダンへ

第8章       「環境移民」という未来への課題 ——「緑の長城」が防ぐのは砂漠化か、それとも移民か

第9章       肥沃な土地に「逆流」する脅威 ——バングラデシュからインドへの移民が後を絶たない理由

第10章     護岸壁、販売中 ——オランダが海面上昇を歓迎する理由

第11章     地球温暖化の遺伝学 ——デング熱の再来で盛り上がるバイオ産業

第12章     テクノロジーですべて問題解決 ——気候工学信奉者たちの楽観的な未来

エピローグ ——気候変動に関する、もっともつらい真実

地球が壊れれば壊れるほど儲かる地球温暖化ビジネスの実態。章立てをみただけで、もう気持ちがどんより暗くなるけど、ああ、人類ってそうだろうな、もう巨大利権の前に滅びるしかないわ・・・という諦めの溜息もでてしまう、この現実世界。今の難民危機に対してさえ、世界中が足並み揃わず右往左往している状態で、しかも政治的迫害じゃないと、明白な証拠がないと難民じゃないし!とかなんとか、私たちの国が、どーたらこーたらと、すんごい重箱の隅つつくような細かい「いちゃもん」で難民認定すらしない間に、すでに世界中のあらゆる場所で「環境難民(移民)」「気候変動難民」という新しい概念の難民が急増しつつあるのです。

けれどもその原因となっている背後には、豊かな先進国で暮らしている私たちの無自覚な強欲や消費爆発があることも思い知らされます。自分自身の消費形態や意識も考えさせられる一冊です。アフリカから地中海を渡って、イタリアのマルタ島にたどり着き、収容所に長期監禁されている難民の実態については、第8章を読んでみてください。